AIが個別に最適化したスマホCBT、効果を35%向上 ―坂田昌嗣が京都大学、統計数理研究所などとNature系デジタル医療専門誌「npj Digital Medicine(IF=15.1)」に発表、発達障害への応用へ―
2025.08.21
当講座の坂田昌嗣講師と本学精神・認知・行動学分野の明智龍男教授は、国内外の研究者とともにAIを活用したスマートフォン認知行動療法の個別最適化治療(POT)アルゴリズムの開発を京都大学、統計数理研究所と共同で行い、その成果が国際誌 npj Digital Medicine (IF=15.1)に掲載されました。
主な成果
-
治療効果の向上:AIが推奨したスキルを用いた介入により、従来の最良の方法と比べて効果が35%向上。さらに、一律の介入が合わなかった人では64%の効果増が確認されました。
-
スマホアプリでの実装可能性:患者の強みや弱みを踏まえて推奨理由を説明できるため、理解と納得を促し、セルフケアへの取り組みを後押しします。
-
国際的意義:多様な治療法の中から個人に最適化する初の精密医療アルゴリズムとして、今後の精神療法の新しい標準となる可能性があります。
発達障害への応用の可能性
今回のアルゴリズムは抑うつ症状に焦点を当てていますが、発達障害の子どもや成人が抱える二次的な抑うつ・不安・不眠への支援にも応用できると期待されます。
さらに、名古屋市立大学こころの発達医学では、「レジトレ」シリーズを発達障害の成人へのサポートに活用する応用的な臨床試験を、山田敦朗教授・辻野亮臨床研究医(精神・認知・行動医学分野)、坂田昌嗣講師を中心に計画しています。
論文情報
-
掲載誌:npj Digital Medicine(2025年8月20日オンライン掲載)
-
タイトル:Personalised & Optimised Therapy (POT) Algorithm using Five Cognitive and Behavioural Skills for Subthreshold Depression
-
著者:古川壽亮、野間久史、田近亜蘭、豊本莉恵、坂田昌嗣、LUO Yan、堀越勝、明智龍男、ほか